-「新潮」昭和36年4月号
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Wednesday, November 11, 2009
摩天楼
「摩天楼を美しいと思うことは、既に我々の祖父伝来伝承された感覚だが、どんどん新しくたっているより機能的なモダンな摩天楼も、(たとえばシーグラム・ビルディングを見よ)直ぐ近くの古い摩天楼との様式差を、高さの近似のおかげで、みごとにカヴァーしてしまっている。ここでは様式の較差も問題ではなく、下から眺める人間の視野に対する威嚇だけで、全くよく似た「圧倒的な」美感を与えるのに成功している。巨大というものが、いつも様式を超越してしまうということの古代の例証は、ローマへ行けばよく見られる通りだ。」
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Sunday, November 01, 2009
フレンチ・クォータ
「私は本物のヨーロッパよりも、中南米や、西印度諸島や、メキシコや、北米南部に残る、衰えた、やつれた、息も絶え絶えな、哀れなヨーロッパのほうを余計に愛する。郷愁でいっぱいになった、そして昔は支配者であったものが今は虜囚の身分に落ちた、半分きちがいになった哀れなヨーロッパが、北米で見られるのは、多分ここニュー・オルリーンズの一角のヴィウ・カレ、いわゆるフレンチ・クォータだけであろう。」 三島由紀夫(「旅の絵本」)
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